雪 五編 冬桜 夜空に宿る 星の花咲く 冬桜 枯れ枝に宿る 天の花 冬木立 咲き乱れたる 雪の花 ふわりと落ちた手のひらに 溶けて消えた白い小片 私の心にも溶けていった 月の下 氷の礫 星に舞う 秋 六篇 木犀の 香馨しき 月天下 鈴の音を聴き 一人まどろむ 葉が散れば もうすぐ雪がやってくる 金色の道 はらはら落ちる 公孫樹の葉 私の目には 金の小鳥は映らぬけれど 陽の光 赤く透過す 空食む柘榴 秋天(あきぞら)に 紅の火灯す アゲハチョウ 鼻腔をくすぐるのは 夜の匂い 秋の匂い 雨の匂い 目を閉じれば 感じる 様々な世界の色彩(イロ) 大気 胸に満たすは星の瞬き 深呼吸して夜の闇を胸に吸い込む 夢 二篇 いつかの夢の欠片(カケラ) 接着剤でつなげてみる 朝の陽に 一握の夢 ひらりひらりと こぼれて消えて |